「派遣の仕事に応募したら"面談"があるって言われたけど、普通の"面接"とどう違うの?」
そんな疑問を抱いた or 抱いていませんか?
特に初めての方にとっては「何を聞かれるのか」「どんな準備が必要なのか」が見えにくく、不安も多いでしょう。
結論、派遣の「面談」は選考のためではなく、実際に働く業務内容や職場環境について確認する機会として行われます。
そのため、事前にある程度のポイントを押さえておけば安心して臨めるでしょう。
この記事では、派遣の面談の基本や、実際によく聞かれる質問・逆質問の例、NG質問への対応方法などをわかりやすく解説。
これから派遣での就業を検討している方、面談に不安を感じている方はぜひ参考にしてください。
派遣では「面接」ではなく「面談」!2つの違いはなに?
派遣では、法律上"面接"は行ってはならないとされています。
これは、労働者派遣法により、派遣先企業が派遣社員を選考することが禁止されているためです。
そのため、正社員やアルバイトのような選考の一環ではなく、派遣先企業と派遣社員が「お互いの認識をすり合わせる」ための"面談"が実施されます。
面談 | 面接 | |
---|---|---|
実施目的 | 双方の認識の 擦り合わせ | 採用・不採用の 選考 |
派遣での実施可否 | ||
評価対象 | 相互理解 意思確認 | スキル 人柄 意欲 |
早期離職・トラブルを防げる
⇒就業前に業務や職場環境の雰囲気を知り、
希望・イメージにズレがないかを確認できる
☆面談終了後に職場見学を実施してくれる場合も◎
もし自身のイメージと乖離があった場合は、もちろん双方間の相談の上で就業の辞退も可能です。
よほど態度が悪いなどを除いて、面談を機に派遣先企業から一方的に就業を断られることはほぼないので安心してください。
派遣先との面談でほぼ確実に聞かれる質問5選
派遣の面談では、これまでの職歴やスキル、希望条件など就業に関する質問が履歴書や職務経歴書の内容をもとに行われます。
一方で、本来答える義務のない・関連性のない質問がされるケースもゼロではありません。
そこでここからは、基本的に聞かれる質問と答えなくていい質問の具体的な内容&対処法を紹介していきます。
どちらもしっかりポイントを押さえて、面談当日を迎えても落ち着いて話せるように準備をしていきましょう。
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自己紹介
派遣の面談の冒頭では、ほとんどの場合「まずは自己紹介をお願いします」と求められます。
これは第一印象を左右する重要なタイミングです。
あくまでビジネスシーンでの面談であるため、自己紹介は簡潔に、以下の要素を1分以内にまとめて話すのが理想です。
- 氏名(フルネーム)
- これまでの職種や業界
- 得意な業務やスキル
- 今回の求人に興味を持った簡単な理由
💡Point
氏名以降の内容は自己紹介の後に
さらに深堀されて聞かれる場合が多いため、
かなり簡単な内容でまとめてOK!
⇒各項目一言程度が目安
▼自己紹介例
「はじめまして、○○○○と申します。前職では3年間、メーカーの営業事務を担当しておりました。Excelでのデータ処理や納期調整などを中心に行っており、正確性とスピードを意識して取り組んでまいりました。今回の求人内容にも類似の業務が含まれていたため、即戦力として貢献できるのではと思い、応募させていただきました。」
面談前に大体1分程度で内容がまとめられているか、相手が聞き取りやすい適切なスピードで話せているかを意識して、口頭練習をしておくと安心です。
志望理由
「なぜこの仕事を希望したのか」「なぜこの職場で働きたいのか」といった志望理由を、より詳しく聞かれる場合があります。
これは、就業意欲やミスマッチの有無を確認する目的で行われます。
派遣社員の場合、正社員のような"企業理念への共感"などの深い理由までは求められませんが、以下のような内容を交えて答えると好印象です。
- 業務内容に対する興味や経験の有無
- 勤務地や勤務時間などの条件が
希望と合っている点 - これまでのスキルが活かせる
と感じたポイント
▼志望理由例
「これまで営業事務を中心に勤務してきたため、受発注処理や請求書作成といった業務に慣れがあります。今回の求人も似た内容だったため、スムーズに対応できると感じました。また、勤務地や勤務時間が自分の希望と一致しており、長く安定して働ける環境だと感じて志望いたしました。」
テンプレート的な表現ではなく、「なぜ自分はこの仕事に興味を持ったのか」を自分の経験と照らし合わせて話すと、説得力のある内容になります。
職歴・経歴
派遣の面談では、履歴書や職務経歴書をもとに、これまでの職歴や業務経験についての確認も行われます。
派遣先企業は基本的に"即戦力"を求めているため、どんな職場で何を担当していたかを簡潔かつ具体的に伝えましょう。
- これまで経験した職種・業界
- 担当していた具体的な業務内容
- (※勤務期間や退職理由)
面談担当者に聞かれた場合のみ
ネガティブ寄りな内容については
自身から発信しない認識でOK
💡Point
以下のような構成を意識すると◎
- 勤務先名+業種 or 職種+在籍期間
- 担当業務+使用ツール、スキル
- 成果、身についたこと
▼職歴・経歴例
「株式会社○○で営業事務として3年間勤務していました。主に受発注管理、請求書の作成、来客対応を担当し、Excelや基幹システムを使用して業務を行っていました。業務の正確性と対応スピードを評価され、2年連続で社内表彰を受けました。」
また、経歴にブランクがある場合や退職理由を聞かれた際は、できる限りポジティブな内容に変換して伝えられるとなお良いです。
例えば…
「上司が嫌だった」「職場の雰囲気と合わなかった」
などの理由で退職したとそのまま伝えてしまうと…
⇒「同じ理由で辞めてしまうのでは…」
といったマイナスイメージにつながってしまう✖
上記を防ぐために、ポジティブな言い方に変換!
▼例
「前職でも貴重な経験を積ませていただきましたが、さらに自身が成長できる環境に挑戦したいと思ったのが理由です。今後のスキルアップやキャリアについて考えたときに、現状に甘えず、新しい環境で多様な経験や知識・スキルを習得すべきではないかと考えました。」
上記はほんの一例ですが、実際の退職理由から逆転の発想を用いて、どのように伝えられるかを事前に考えておきましょう。
スキル・経験
面談では、これまでの業務で習得したスキルや、保有資格などについても質問されます。
職歴と重複する部分もありますが、スキルに関しては"どのレベルまで扱えるか"を具体的に伝えましょう。
また、業務とは直接関係がなくてもその他に保有している資格などがある場合は、同時にアピールすると良いです。
- 使用したソフトやツール
例:Excel、Word、PowerPoint - 語学力
- 保有資格
例:簿記、MOS、介護福祉士 - 業務に活かせる特技や経験
💡Point
それぞれ「何ができるのか」+「どの程度できるのか」まで伝えられると、ミスマッチ防止に◎
▼スキル・経歴例
「ExcelでVLOOKUP関数やピボットテーブルを使ったデータ集計が可能です。前職では営業実績の集計やレポート作成を担当していました。」
スキルや資格は、手数が多ければ多いほど評価につながります。
「いつか機会があればと思い、独学で取得した」「通信講座で新たな資格取得に挑戦している」なども好印象を与えられるでしょう。
就業条件
派遣の面談では、スキルや経験に加えて「いつから働けるか」「週何日・何時間働きたいか」など、就業条件の確認も行われます。
希望と企業の条件が一致しているかの事前のすり合わせは、双方にとって早期離職やトラブル防止につながります。
- 勤務開始希望日
- 勤務可能な曜日・時間帯
- 残業や休日出勤への対応可否
- 通勤時間や交通手段
- 長期・短期など勤務期間の希望
💡Point
希望条件はすべて正直に!
ここで見栄を張ってしまうと、
のちのち自分の首を絞めることに…
▼就業条件例①
「現在の職場を月末で退職予定のため、翌月10日から勤務可能です。週5日フルタイムの勤務を希望しています。」
▼就業条件例②
「子どもの送迎があるため、9時〜16時までの時短勤務を希望しています。残業は対応が難しいですが、業務時間中は集中して取り組めます。」
就業条件の確認は、派遣先企業との相性を見極めるうえで非常に重要です。
不安な点や柔軟に対応できる部分についてもあわせて伝えると、よりスムーズに話が進むでしょう。
【注意!】答えなくていい質問集
万が一、プライバシーや個人情報、差別に通じる内容をはじめとした就業に関係のない質問をされた際には、答える必要はありません。
具体的なイメージとして、以下のような内容には気をつけましょう。
- 結婚や妊娠の(予定も含む)有無
- 家族構成、家族の病気、
介護、職業、収入など - 趣味やプライベートについて
- 宗教・政治的思想
- 年齢・出身地・性別などの
差別につながりそうな内容
- 「プライベートに関わる質問なので、お答えするのが難しいです。」
- 「個人的な内容ですので、お話しするのは控えさせていただきます。」
上記のようにやんわり断ると◎
派遣の面談はあくまで「業務に必要な情報の確認」が目的です。
不必要に踏み込まれたと感じた場合は、無理に答えず、冷静に対処しましょう。
あなたのプライバシーを守る権利は、どの雇用形態でも同じです。
【重要】派遣の面談で使える&避けるべき”逆質問”
面談の最後に「何か質問はありますか?」と聞かれる"逆質問"。
といっても、「何を質問すればいいかわからない」「質問が浮かばない」「『(質問は)特にありません。』じゃだめなの?」という方も多いです。
結論から言うと、「特にありません。」という回答は「この会社に対して関心がない」=マイナスな印象を与えかねないためNGです。
ではそもそも、なぜ"逆質問"をしなければならないのでしょうか。
- 企業側へ自身の熱意をアピールできる
- 企業へのイメージや理解がより深まる
💡Point
難しく考える必要なし!
ある程度適切な質問を押さえておけばOK
万が一に備えて事前に
いくつか候補を考えておくと◎
実際「特にありません。」以外にも、マイナスイメージに直結しかねない避けたほうがいい質問は存在します。
そのため、ここからは"逆質問"のOK例とNG例をそれぞれ厳選して3つずつ紹介します。
※以下の各行をクリックすると該当箇所に飛びます。
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何がOKでNGなのかのラインを明確化させて、難なく"逆質問"も突破しましょう。
OK例①|業務内容について
派遣の面談で逆質問を求められた際は、担当する業務に関する内容を中心に聞くのがもっとも適切です。
就業後のミスマッチを防ぐ意味でも、仕事内容の理解を深める質問は企業側からの印象も良くなります。
▼OK質問例
- 「1日の業務の流れについて、簡単に教えていただけますか?」
- 「業務上でよく使用するソフトやツールは何ですか?」
- 「繁忙期はありますか?どのようなタイミングでしょうか?」
- 「このポジションで重要視されるスキルや対応力はありますか?」
業務に関連した質問は、実務への理解度や意欲への前向きな姿勢が伝わりやすいです。
求人を見た時点で気になる点があれば、事前に整理しておくとスムーズに質問できるでしょう。
OK例②|職場環境について
職場の雰囲気や体制についての事前確認は、就業後のギャップを防ぎやすくなります。
特に派遣社員として働く場合は、どのような環境で働くかを把握しておくのは安心材料になるでしょう。
▼OK質問例
- 「配属予定の部署の人数や年齢層を教えていただけますか?」
- 「派遣社員の方は現在何名ほどいらっしゃいますか?」
- 「派遣社員の方が過去に長く働いていた実績などはありますか?」
- 「業務の際は個人作業が多いか、チームで行うか教えてください」
働きやすさは人によって異なるため、自分にとって居心地のよい環境かを見極めるためにも、こうした質問をしておくと安心です。
OK例③|企業について
企業自体に関する質問も、逆質問として適切な例のひとつです。
企業そのものに対して興味関心を持っている姿勢は、意欲的な印象を与えられます。
▼OK質問例
- 「今後の事業展開や注力している分野について教えていただけますか?」
- 「派遣社員に対して、どのような役割を期待されていますか?」
- 「就業前に確認・準備しておいたほうが良いことはありますか?」
こうした質問は「業務理解を深めたい」「業務で自身も早く貢献したい」という向上心なども示せます。
実際に企業への理解を深めるうえでも有効な内容なので、参考にしてみてください。
NG例①|給与や福利厚生などについて
給与や福利厚生に関する質問は、原則として面談では控えた方が無難です。
その理由は、こうした情報は求人や企業の公式サイトに記載されている場合が多く、事前に確認できる項目だからです。
あえて面談の場で質問すると、「事前確認を怠っている」「条件面だけに関心がある」といったマイナスな印象を与えかねません。
▼NG質問例
- 「時給はいくらですか?」
- 「交通費は全額支給されますか?」
- 「有給休暇は何日もらえますか?」
ただし、求人の記載に不明点がある場合は「求人には〇〇とありますが、具体的にはどのような形ですか?」といった確認ベースの質問であればOKです。
給与・待遇に関する内容は、まずは求人や派遣先企業の公式サイト・派遣会社への事前確認を基本としましょう。
NG例②|正社員登用について
派遣先企業との面談では、「正社員登用の可能性」に関する質問は避けた方が良いとされています。
なぜなら、派遣はあくまで"一時的な人員補充"を目的としており、正社員への登用を前提とした契約ではないためです。
実際に派遣社員から正社員登用をされる可能性もありますが、企業側からのオファーがあって初めて成立するものです。
そのため、まだ就業すらしていない段階で判断はできない上、企業側に就業前から不要なプレッシャーを与えかねません。
▼NG質問例
- 「正社員を目指すにはどうしたらいいですか?」
- 「今まで派遣社員から正社員登用された実績はありますか?」
どうしても将来のキャリアを見据えておきたい場合は、派遣会社に相談するのが適切です。
紹介予定派遣など、正社員登用前提の雇用形態もあるため、希望があれば事前に伝えておくと良いでしょう。
紹介予定派遣について詳しく知りたい方は、別記事も併せてぜひご覧ください。
NG例③|面談内で説明した内容と被る事柄について
逆質問の際には、すでに面談の中で説明された内容を繰り返し聞くのは絶対に避けましょう。
面談担当者からすると「話を聞いていなかったのでは?」という印象を持たれかねず、関心の薄さや準備不足といったマイナス評価に繋がる可能性があります。
▼NG質問例
- 「勤務時間は何時からですか?」
⇒冒頭ですでに説明があった - 「残業はありますか?」
⇒求人に明記されている
面談中に説明された内容で不明点がある場合は、その内容の直後に確認するのが双方にとって適切です。
もし後から聞く場合は、「先ほどお話しいただいた◯◯について、少し詳しく伺ってもよろしいですか?」といった補足的な聞き方に変えると好印象です。
また、先程紹介したOK例の質問でも、担当者によってはたまたま面談内で詳しく説明してもらえてしまう場合もあります。
そのため、万が一に備えて"逆質問"は一つではなく、いくつか候補を考えておくと良いでしょう。
当日パニックにならないためにも、事前準備は怠らないようにしてくださいね。
派遣先企業との面談に関するよくある質問
面談を終えたあと、「やっぱり辞退したくなった」「当日の受け答えは大丈夫だったかな?」と不安に思う方も少なくありません。
特に派遣での就業が初めての場合、面談後の流れや注意点について事前に知っておけば、無用な混乱や後悔を避けられます。
ここでは、面談後によくある2つの質問に焦点を当てて、それぞれ詳しく解説します。
派遣先企業との面談に関するよくある質問
※以下の各行をクリックすると該当箇所に飛びます。
面談後の辞退は難しい?
結論から言うと、派遣先との面談後であっても辞退は可能です。
実際に、面談後に「思っていた仕事内容と違った」「職場の雰囲気に不安を感じた」といった理由から辞退するケースも少なくありません。
ただし、辞退する際には以下の点に注意しましょう。
- なるべく早めに連絡する
面談当日〜翌日までには
派遣会社に意思を伝えるのが理想 - 辞退の理由は正直に、かつ簡潔に
「業務内容に不安を感じた」
「自分の希望と異なる点があった」
などでOK!
また、派遣先企業に直接辞退の連絡を入れる必要はありません。
派遣会社の担当者に連絡を入れるだけでOKです。
派遣社員と企業のやり取りは、あくまで派遣会社が間に入るのがルールです。
面談の辞退は悪いことではありませんが、あまりに繰り返すと「マッチしにくい人」という印象を派遣会社側に持たれてしまう可能性も。
不安や就業にあたる上で絶対的な希望条件がある場合は、事前に派遣会社にしっかり相談しておきましょう。
実際の面談で意識したほうがいいことは?
面談では、採用・不採用が決まるわけではありませんが、企業側が人柄や仕事への姿勢から「一緒に働けそうか」を判断する重要な機会です。
お互いの認識のすれ違いを防ぐためにも、以下の3つのポイントを意識すると好印象につながります。
- ごまかさずに誠意をもって話す
- 企業についてある程度事前に調べておく
- 質問への回答や逆質問の内容など
下準備をしておく
自分をよく見せようとしすぎるよりも、「この企業で安心して働けるか」「業務内容に無理はないか」を見極める意識も忘れずに持ちましょう。
自身と企業の認識をそろえ、快く就業スタート!
派遣の「面談」は、面接とは異なりお互いの認識をすり合わせる場として設けられています。
実際に業務に入る前に、職場環境や担当業務について具体的に確認できる機会であり、ミスマッチによる早期離職を防ぐためにも重要なプロセスです。
面談では、過度に緊張せず、誠意をもった受け答えが何より大切です。
また、自分の希望条件やライフスタイルに合っているかを冷静に見極める視点も忘れてはいけません。
疑問点や不安があれば遠慮せず質問し、「聞きそびれたまま就業開始」という状態を防ぎましょう。
面談後にどうしても納得がいかない場合には、派遣会社の担当者に必ず相談することも忘れずに。
事前の準備と丁寧な対応が、快適な派遣ライフへの第一歩です。
企業と自身の認識をしっかりと揃え、安心して新たな職場でのスタートを切りましょう。
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