家事や育児と両立しながら、無理なく働ける仕事を探す女性にとって、「派遣社員」という働き方が注目を集めています。
短時間勤務や曜日固定など、柔軟な働き方が選べる点で、パートと並んで人気のある雇用形態です。
実際に、女性の派遣社員数は過去5年間で常に80万人を超えており、右肩上がりの増加傾向にあります。
以下は、過去5年における女性派遣社員数の推移です。
年 | 女性派遣社員数 (万人) | 前年比増減率 (%) |
---|---|---|
2022 | 90.0 | +2.2 |
2021 | 88.0 | +5.7 |
2020 | 83.1 | -2.8 |
2019 | 85.6 | +4.1 |
2018 | 82.3 | +2.6 |
2020年のみ前年比マイナスとなっていますが、これは新型コロナウイルスの大流行による経済活動の停滞が要因とみられます。
それ以外の年では安定した増加が続き2022年にはついに90万人を突破、この増加傾向から派遣社員に対する女性からの需要が年々高まっているとわかります。
そこで本記事では、そもそもなぜ女性に派遣社員が人気となっているのか、パートとの違いやメリット・デメリットの比較などから徹底的に迫ります。
【前提】女性が働くうえで最も重視する条件は「勤務時間」
引用:特定非営利活動法人 コミュニティ友志会
上記は「女性が働くうえで重視したいこと」に関するアンケートで、「勤務時間」が7割以上という圧倒的結果に。
子育てはもちろん、家事もまかないながら働くとなれば生活や体力面に支障がない範囲で仕事を探す必要があり、重要度はおのずと高くなるでしょう。
昨今では様々な雇用形態がありますが、中でも短時間勤務を叶えられる働き方として代表されるのは、派遣とパートの2つです。
ここからは、派遣とパートの違いと結局どちらがいいのかについて細かく比較しながら解説していきます。
子育て・家事をしながら働きたい主婦さんに!派遣とパート結局どっちがいい?
家庭との両立をしながら働きたい主婦の方にとって候補となる働き方は、やはり派遣とパートの2つでしょう。
どちらを選ぶかによって、働き方・サポート体制・時給・福利厚生などに大きな違いがあります。
まずは、自分の条件により合った雇用形態を選ぶために、両者の具体的な違いについて比較しましょう。
派遣 | パート | |
---|---|---|
雇用主 | 派遣会社 (間接雇用) | 就業先 (直接雇用) |
雇用期間 | 原則3ヶ月~3年 | 短期~長期 |
勤務時間 | 短時間、長時間 どちらもあり | ほぼ短時間のみ |
平均時給 | 1,569円 | 1,276円 |
給与支払いの 方法 | 月額払い 週払い 隔週払い 日払い | 月額払い |
職種の豊富さ | 〇 | △ |
キャリア・ スキルアップの サポート支援 | 〇 | △ |
育児休暇 ・介護休暇 | △ 会社による | △ 会社による |
有給休暇※ | 〇 | 〇 |
交通費 | △ 会社による | △ 会社による |
今回は、「勤務時間」「給与」「職種の豊富さ」「キャリア・スキルアップ」の違いにさらに焦点を当てていきます。
自身が重要視しているもの、興味のあるものからチェックしてみてくださいね。
※以下の各行をクリックすると該当箇所に飛びます。
上記以外の比較項目についても気になる方は、派遣とアルバイト・パートの違いをより細部まで比較している別記事もあるので、そちらも併せてご覧ください。
勤務時間と給与
派遣 | パート | |
---|---|---|
勤務時間 | 短時間、長時間 どちらもあり | ほぼ短時間のみ |
平均時給 | 1,569円 | 1,276円 |
派遣・パートともに短時間勤務が可能な点は主婦・女性にとってかなりのメリットですが、平均時給を見ると派遣の方が300円ほど高いとわかります。
どちらの雇用形態でも求人によって時給は様々ですが、一般的に派遣社員の方が高時給の仕事が多く、高収入を得やすいでしょう。
派遣社員がなぜ比較的高時給なのか詳しく知りたい方は、別記事も併せてご覧ください。
また、上記の比較の通り派遣社員の求人では短時間勤務のみならず、長時間勤務の求人まで豊富にあります。
例えば、「子育てがある程度落ち着いたから、週3だけ8時間勤務で働きたい」などが派遣社員では可能です。
一方、パートは基本的に短時間勤務の求人しかない傾向があります。
「正社員ほどガッツリは働けないけど、女性にも活躍の場を」という背景から作られた働き方であるため、そもそも長時間勤務がしたい人には向かない雇用形態だからです。
よって、将来的に長時間勤務も考えたい方や少しでも高収入を狙いたい方は派遣の方がおすすめと言えます。
職種の豊富さとキャリア・スキルアップ
家事や育児を優先しながら働ける仕事を探しても、「希望する仕事が見つからない」「やりたい仕事が限られている」と悩む方は少なくありません。
以下は、主婦層を対象に行われた「再就職に結びつかなかった理由」に関するアンケート結果です。
引用:特定非営利活動法人 コミュニティ友志会
その他を除いて最も割合が多かった回答は「預け先がない」ですが、ほぼ同割合で「時間が合わない」次に「やりたい仕事がない」「賃金・場所が希望に合わない」が続いています。
つまり、「働ける時間・場所内で、自分に合った仕事が選べない」といった問題がかなり大きいとわかるでしょう。
そこで、派遣とパートでは実際にどのような職種・業種の求人があるのかを比較してみましょう。
- 事務職
- IT、エンジニア職
- 営業職
- クリエイティブ職
- 製造業
- 建設業
- 介護職
- 医療事務
⇒未経験可~専門職まで幅広い
- 販売職
- 接客業
- 事務職
- 製造業
- 清掃業
⇒地域密着型の簡易的な業務が多い
上記の特徴をそれぞれまとめると、まず派遣は未経験でも始められるものから、資格・スキルや経験を活かせる専門職まで求人がかなり豊富です。
今までの経験を活かした職に就きたい方・再就職を機に新しい職種に挑戦したい方でも、派遣であれば幅広く選びやすいと言えるでしょう。
一方で、パートは主に販売・接客業を中心に誰でも始めやすい求人が多いですが、職種にフォーカスすると求人の幅は少ないと言えます。
つまり、特に職種へのこだわりがなく気楽に働きたい方にはパートの方がおすすめです。
また、派遣の場合※派遣会社が実施しているセミナーや講習、資格取得などの手厚い無料サポートを希望性で受けられるという大きな特徴があります。
※実施有無、講習の種類は各派遣会社ごとに異なります。
- PCスキル(基礎・応用)
- ビジネスマナー
- 英会話
- 専門スキル(CAD、経理、貿易など)
- 資格取得(簿記、TOEIC、MOSなど)
- キャリア相談
もし希望するものがあれば、短時間勤務で無理せず働きながら将来的なキャリアチェンジも目指せるためかなり魅力的なポイントでしょう。
実際にどんなものが受けられるのかが気になる方は、派遣会社への登録前に各公式サイトを確認してみてくださいね。
女性で派遣かパートかで迷っている方へ!向いている人の特徴
ここまで、勤務時間や時給・選べる職種やキャリア支援など、派遣とパートの違いを詳しく見てきました。
どちらも主婦の働き方としては魅力的ですが、「どちらが自分に合っているのか」の見極めが大切です。
自分のライフスタイルや仕事に対する考え方に応じて働き方を選ぶ参考として、以下のポイントをチェックしてみてください。
- 将来的に長時間勤務も
検討する可能性がある人 - 短時間勤務で高収入を目指したい人
- 幅広い職種の中から選びたい人
- 働きながら将来的なキャリアチェンジの
可能性も広げたい人
- 短時間勤務でしか働く予定がない
- 自身の収入をできるだけ抑えたい人
- 職種にこだわりがない人
- 簡単な業務でなるだけ楽に働きたい人
「どちらが良い・悪い」ではなく、将来的に見て自分に合うのはどちらなのかを指標として選びましょう。
【主婦さん必見】手取りが減る!?覚えておくべき”年収の壁”
派遣やパートで働く主婦の多くが気になるのが「年収の壁」。
簡単に言うと一定の年収を超えると、税金や社会保険の負担が増えて手取りが減る仕組みです。
損をしない働き方を選ぶためにも、各「壁」とその影響をしっかり理解しておきましょう。
年収 | 対象 | 影響 |
---|---|---|
100万~ | すべての人 | 住民税課税 |
103万~ | 扶養控除を 受けている人 | 所得税課税 扶養控除減額 |
106万~ | 従業員50人以下の 企業で働いている人 | ※社会保険の加入 |
130万~ | 従業員101人以上の 企業で働いている人 | 国民年金・国保の加入 または 社会保険の加入 |
150万~ | 配偶者控除を 受けている人 | 配偶者控除減額 |
201万~ | 配偶者控除、 配偶者特別控除を 受けている人 | 配偶者控除、 配偶者特別控除の 適用なし |
上記の壁の中でも多くの主婦の方が悩むのは、「扶養内で収めるか」「自身の就業先で社会保険に加入するか」の主に2つでしょう。
結論、扶養・社会保険どちらもそれぞれの家庭状況や世帯収入によって良し悪しが異なるため、一概に何が正解というのはありません。
ただ、大まかな指標としてどのように考えればいいのかという観点で、扶養・社会保険に関する概要を簡単に確認しましょう。
- 手取りの多さを取りたい
⇒扶養内に収める - 現状の税金負担は大きくなるが、
年金や将来的な貯金などを優先したい
⇒扶養を外れる
※社会保険の加入条件
- 従業員数51人以上の企業に所属
- 週の所定労働時間が
20時間以上30時間未満 - 月額賃金が8.8万円以上
- 2ヶ月以上の雇用見込み
- 学生ではない
上記すべてにあてはまる
⇒就業先の社会保険に加入
それ以外
⇒国民健康保険・国民年金に加入
参照:厚生労働省
年収の壁や社会保険の加入条件は、不定期にその規制が細かく変更される傾向にあります。
その都度、自身や家族のライフプランに応じてよく相談し、年収の壁を踏まえた働き方を選びましょう。
女性・主婦さんから派遣とパートに対するよくある質問
「派遣とパートの違いはわかったけれど、実際に働くとなると細かい部分が気になる」そんな声も少なくありません。
そこで、ここからは派遣・パートのどちらにするか悩む主婦の方からよく寄せられる質問をピックアップして紹介していきます。
派遣・パートに関するよくある質問
※以下の各行をクリックすると該当箇所に飛びます。
自身の現在の状況から当てはまりそうな悩みがあれば、ぜひチェックしてみてください。
派遣社員で3年以上同じ職場で働く方法はないの?
基本的に派遣社員は、同一部署内で働ける期間は最長3年までと法律で義務付けられています。
ただし、以下のようなケースの場合は、3年以上同じ職場で働き続けられます。
同じ職場で3年以上派遣で働く方法
- 同じ企業内で別の部署に異動する
- 派遣先企業で正社員登用してもらう
- 派遣会社で無期雇用契約を結び、
派遣社員として再び派遣される - クーリング期間(3ヶ月+1日)
を空けて再契約する
一部例外や特別な条件もあるため、3年以上の継続勤務を希望する場合は、早めに派遣会社と相談しておきましょう。
上記や派遣の「3年ルール」についてより詳しく知りたい方は、別記事も併せてご覧ください。
子供の発熱やケガなどで急なお休みをしやすいのはどっち?
結論、派遣でもパートでも就業先によるでしょう。
主婦層が多く在籍している職場
⇒子供の体調不良によるお休みなどへの
理解が得られやすい
人数に余裕がない職場
⇒業務をぎりぎりの人数で回している職場の場合、
急な休みや早退がしにくい…
もし小さなお子さんがいる場合は、面接時などに事前に伝えておくのも大切です。
また、求人内に「子育て世代歓迎」「主婦歓迎」などの記載がある職場は、主婦層が多く在籍していたり、家庭都合のお休みに理解がある可能性が高いです。
派遣社員でも扶養内で働ける?
派遣社員でも扶養内で働くことは十分可能です。
実際に、短時間勤務や扶養内勤務を前提とした派遣求人も多く出ています。
- 短時間勤務や週3日勤務の求人が豊富
- 月収・年収の上限を
相談しながら仕事を選べる - 派遣会社が収入管理や調整を
サポートしてくれる場合もある
特に、登録時に「扶養内で働きたい」と希望をしっかり伝えておけば、最初から扶養範囲内に収まる求人だけを紹介してもらえるため、無理なく働き続けられます。
ただし、万が一にも年収の壁を超えないよう、以下の点は自己管理も徹底しましょう。
派遣で扶養内で働くための注意点!
- 月ごとの収入を確認する
- ボーナスや残業代込みで年収を見積もる
- 派遣会社に年収見込みの相談をする
自身でもこまめに確認しながら、不安なことがあれば随時派遣会社に相談すれば安心です。
自分のキャリアビジョン・家庭の状況に応じて自分に合う働き方を選ぼう
主婦が働き方を選ぶ際、短時間勤務のしやすさや家庭との両立を重視するケースがほとんどです。
派遣もパートも上記において柔軟な働き方ができる雇用形態ですが、自身の今後のキャリアや家庭状況など長い目を見てどちらが合っているかを見定めましょう。
最後に、それぞれの向いている人を再度振り返りましょう。
- 将来的に長時間勤務も
検討する可能性がある人 - 短時間勤務で高収入を目指したい人
- 幅広い職種の中から選びたい人
- 働きながら将来的なキャリアチェンジの
可能性も広げたい人
- 短時間勤務でしか働く予定がない
- 自身の収入をできるだけ抑えたい人
- 職種にこだわりがない人
- 簡単な業務でなるだけ楽に働きたい人
もう一度派遣とパートの比較を見たい方へ
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派遣 | パート | |
---|---|---|
雇用主 | 派遣会社 (間接雇用) | 就業先 (直接雇用) |
雇用期間 | 原則3ヶ月 ~3年 | 短期~長期 |
勤務時間 | 短、長時間 どちらもあり | ほぼ短時間のみ |
平均時給 | 1,569円 | 1,276円 |
給与支払い の方法 | 月額払い 週払い 隔週払い 日払い | 月額払い |
職種の豊富さ | 〇 | △ |
キャリア・スキルアップのサポート支援 | 〇 | △ |
育児休暇 ・介護休暇 | △ 会社による | △ 会社による |
有給休暇 | 〇 | 〇 |
交通費 | △ 会社による | △ 会社による |
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どちらがいいかしっかり比較して、無理なく働ける働き方を見つけてくださいね。
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